道具・治具

初心者のための鑿の研ぎ方 ~治具(研ぎガイド)を使う方法について

治具(研ぎガイド)を使った鑿の研ぎ方

さくや(@sakuyakonoha77)です。

本格的な木工に欠かせないのが鑿(のみ)。ホームセンターでも販売されているので、見たことがある方も多いと思います。

しかし鑿はDIY初心者にとって扱いが難しもの。特に刃研ぎが非常に難しく、苦手意識を持つ方も多いのではないでしょうか。

鑿を研ぐことができるのは職人だけと思われがちですが・・そんなことはありません!

適切な砥石と、研ぐための治具(研ぎガイド)を使えば誰でも鑿を研ぐことができます。

この記事では、研ぎに必要な治具(研ぎガイド)砥石、そして具体的で詳しい研ぎ方を紹介します。

切れ味の良い鑿を使って、ぜひDIYの幅を広げてみてください。

鑿の刃の理想とは

鑿の刃研ぎについて考える前に、刃研ぎのゴールをはっきりさせましょう。

重要なポイントは三つ

鑿の刃の理想の形

鑿の刃の理想の形

よく切れる鑿は上の図のような状態になっています。重要なポイントは三つあります。

  • 刃裏(はうら)が平面である
  • 鎬面(しのぎめん)が平面である
  • 刃裏と鎬面の間の角度が30度程度である

逆に、切れない鑿は上記のポイントのどれかが(多くの場合は三つとも)崩れています。鑿を研ぐということは、上の三つを実現すればいいということです。

言葉で言えばとても単純ですが、まぁこれが至難の業なわけです。

刃裏と鎬面を平面にする

鑿を研ぐには砥石(といし)を使います。砥石で鑿を研げば刃がつく・・と思いがちですが、実はそこに大きな落とし穴があります。

え、ちがうの?
はろ子
さくや
間違っちゃいないよ。でも最初から刃を付けようとすると失敗するんだ

先程の三つのポイントを思い出してください。刃裏と鎬面が平面であることが重要でした。

『砥石で研いで刃を付ける』と考えていると、ついつい刃先だけを研いでしまいがちです。その結果、刃裏も鎬面も平面が崩れ、刃の角度は30度からずれて切れなくなってしまいます。

つまり砥石は刃を平面にするものと考えた方がよいのです。

砥石の平面が極めて重要

さて、砥石で刃を平面にするとなると、必然的に砥石が平面であるかどうかが重要になってきます。

砥石が丸まっていたり歪んでいては、鑿を研いで平面になるはずがありませんよね。

しかも厄介なことに、砥石は簡単に形が崩れるものです。固そうに見えますが実際はやわらかく、ちょっと研いだだけで簡単に窪んでしまいます。

つまり砥石が平面であるとは限らないのです。平面でないならば、平面にしてあげなければなりません。

そこで必要になるのが『面直し(つらなおし)』という作業です。

砥石の面直しとは

砥石の面直し

砥石の面直し

砥石の面直しとは、砥石の面を修正して完全な平面にすることです。

面直しの方法としては、同じ砥石を二つ用意してすり合わせる共摺り(ともずり)という方法が一般的です。

凸凹の砥石が二つあるなら、互いにこすれあわせればどちらも平らになるよね~という発想です。硬さの違う砥石を使うと片方だけがすり減るので、同じ固さの砥石を二つ用意する必要があります。

また、面直し専用の修正砥石というものもいろいろと販売されています。

しかし私個人的には、共摺りも、面直し専用砥石もお勧めしません

共摺りは、平らに修正できたと思っても、実はできていないということがしばしばおきます。

片方の砥石がカマボコ型にふくらみ、もう片方の砥石が凹んだとき、凹凸面がぴったり一致するため共摺りをしていても気づくことができないのです。

共摺りは失敗しやすい

共摺りは失敗しやすい

それを解決するために砥石三つを使う三面摺りという方法もありますが、非常に時間がかかるうえに結局はイタチごっこです。

また、面直し専用の砥石を使ったとしても同様です。

面直し専用砥石は比較的固い砥石ですが、それでも結局は砥石です。いずれは(しかも意外と早く)変形します。面直し砥石を直す砥石・・などと探し始めるときりがありません(笑

さくや
面直しについてはいろいろと試したよ・・面直し専用砥石、金剛砂、しまいにはコンクリートブロック、家の前のコンクリートの地面まで使ったりしたな
うわ~・・家の前で砥石をゴリゴリって、不審者だわ
はろ子
さくや
でも、そのどの方法でもうまくいかなかったよ。きちんと修正するためには、どうしても『正確な平面』が必要なんだ

というわけで、私がおすすめするのは面直しにダイヤモンド砥石を使う方法です。

砥石の面直しにはダイヤモンド砥石がおすすめ

砥石の面直しにはダイヤモンド砥石がおすすめ

ここで使っているダイヤモンド砥石はツボ万の『アトマエコノミー(中目)』です。

私は京都の砥石屋『砥取家』のご主人に薦められて、アトマエコノミーを使い始めました。

アトマエコノミーは高精度の平面をもつアルミ台にダイヤモンド面を接着しています。使い続けても面が歪むことがないため、アトマエコノミーと砥石をすり合わせれば確実に正確な平面を得ることができます

ただし、前後左右均等に力をかけてこすることが重要で、力が偏ると砥石が片減り(どちらか一方に傾いて削ってしまうこと)します。

さくや
片減りしても、平面ではあるからいいんだけどね・・もったいないから砥石を前後左右にローテーションしたりして、バランスよく使うといいよ

なお、その他の方法として大理石やガラス板とサンドペーパーを使う方法もあります。

固い平面の上に耐水サンドペーパーを貼り付けて、そこに砥石をこすりつけることで面直しをすることができます。もし完全な平面が出ているものがあれば利用してみるのも手です。

鑿の刃の角度

鑿の刃の角度は30度が最適

鑿の刃の角度は30度が最適

刃裏と鎬面の間の角度は約30度が良いとされています。

刃の角度はプロトラクターや刃物角度定規で確認しましょう。

刃の角度を小さくすれば刃は鋭く欠けやすくなり、角度を大きくすれば刃は欠けにくいものの切れ味が落ちます。

というわけで、おおむね30度程度がバランスが良いということです。私も30度で刃を研いでいますが何も不都合はないので、まずは30度で調整しましょう。

刃研ぎのポイントまとめ

鑿の刃研ぎのポイントをまとめると、このようになります。

  • 砥石は常に平面を保つ。平面が崩れたらダイヤモンド砥石(アトマエコノミー)で修正する
  • 刃裏と鎬面を研いで平面にする
  • 刃裏と鎬面の間の角度は30度にする

あとは、これをどう実現するかが問題です。

次は研ぎに使う砥石について詳しく説明していきます。

砥石について

鑿の研ぎに使う砥石

鑿の研ぎに使う砥石

鑿の研ぎ方を説明する前に、研ぎのおおまかな流れと砥石について簡単に説明します。

鑿に限らず、刃物の研ぎは大きく分けて三つの段階があります。

  • 荒研ぎ(荒砥#120~#320)
  • 中研ぎ(中砥#1000)
  • 仕上げ研ぎ(砥石#8000~)

それぞれの段階に応じて適切な粒度の砥石を使う必要があります。砥石の粒度は番手(#)で表され、番手が大きいほど細かい砥石、すなわち仕上げ用の砥石になっていきます。

刃物を研ぐ際は、

  1. 荒い砥石で大まかに刃を削り(荒研ぎ)
  2. 中くらいの砥石で刃を整えて(中研ぎ)
  3. 細かい砥石で鋭い歯を付ける(仕上げ研ぎ)

というのが大まかな流れになります。

それぞれの段階で適切な砥石を使う必要がありますので、詳しく説明していきます。

荒砥

最初の研ぎである荒研ぎは、荒砥(あらと)を使って刃の形を作るのが目的です。

鎬面が平面でないのであれば平面を作り、刃の角度がずれている場合は正しい角度に戻すという作業です。

そのため、荒研ぎの段階で重要なのは研磨力の高い荒砥で一気に研ぐことです。

研磨力の低い砥石を使うと非常に時間がかかり疲れ果ててしまいます。荒研ぎの段階では容赦なく鋼を削る強力な砥石を使いましょう。

さくや
力の弱い荒砥を使うと、冗談抜きに何時間も苦戦するから・・荒砥は中途半端なものを買わないほうがいい

荒研ぎの段階でお勧めする砥石(荒砥)は二種類あります。

ダイヤモンド砥石

私が荒砥でおすすめするのはダイヤモンド砥石です。

ダイヤモンド砥石は極めて強い研磨力があります。

まるでグラインダーのようにゴリゴリと鑿の鋼を削ってくれるので、刃欠けを直したり、刃の角度を変えるような場合に絶大な威力を発揮します。

ダイヤモンド砥石

ダイヤモンド砥石(左:互恵商事の面直し砥石、右:ツボ万のアトマエコノミー)

左側にあるものは互恵商事のダイヤモンド砥石です。『面直し砥石』として販売されているものですが、私は刃物の荒研ぎで使っています。

表が#120、裏が#180となっていて両面使えるのも嬉しいですね。このダイヤモンド砥石は非常に強い研磨力があり、たとえば下のように丸まってしまった鑿の刃でも、

研ぐ前の鑿

研ぐ前の鑿

ものの数分で下のように研ぎ下ろすことができます。

ダイヤモンド砥石で研いだ鑿

ダイヤモンド砥石で研いだ鑿

数分って、ほんとに?
はろ子
さくや
ほんとに数分。10分はかからないよ。というか私は研ぎに時間をかけない派だから

研磨力が強いため、研いだ後は刃にヘアライン状の傷が残りますが、これは後でかんたんに修正できるので心配いりません。

なお、互恵商事のダイヤモンド砥石は平面精度に若干懸念があります。ためしにクランプで力を加えてみたところ中央部が凹むことがわかりました。

ダイヤモンド砥石の平面精度に疑問アリ

ダイヤモンド砥石の平面精度に疑問アリ

さくや
もともと面直し用の修正砥石だから、刃物を研ぐことを想定していないのかもね。粗削りと割り切るなら問題ないよ

平面精度にこだわるのであれば、面直しの説明で紹介したツボ万の『アトマエコノミー』を使えばOKです。

アトマエコノミーは鑿を研いでも平面が歪むことはありません。互恵商事のダイヤモンド砥石で大まかに削った後で、アトマエコノミーで平面を修正するのがセオリーです。

合成砥石

ダイヤモンド砥石で研いだ後や、そもそもダイヤモンド砥石を使う必要が無い場合は、一般的な合成砥石で荒研ぎをすることになります。

合成砥石の荒砥は色々と使ってきましたが、私が最終的に行き着いたのは行き着いたのはシャプトンの黒幕シリーズです。

黒幕シリーズは研磨力と平面保持力(形の崩れにくさ)のバランスが良いので普段使いとして重宝します。

荒砥石(左:黒幕#120、右:黒幕#320)

荒砥石(左:黒幕#120、右:黒幕#320)

左側の黒幕#120は黒幕シリーズで一番荒い砥石で、ジャリジャリと鑿を研いでくれます。

ただしダイヤモンド砥石と比べるとやはり研磨力は弱く、砥石の平面も崩れやすいのが欠点です。

さくや
ダイヤモンド砥石と比べるのも不公平ではあるけど

目詰まり(研ぎ汁などが砥石に詰まって研磨力が落ちること)も起こしやすいので、こまめに面直しをするようにしましょう。

なお、黒幕シリーズの砥石で目詰まりを起こしたときの修正用として『復活砥石』という商品もあります。

もし目詰まりで困ることがあれば思い出してみてください。

右側の黒幕#320は、荒砥から中砥につなぐ際にぴったりの砥石です。

ダイヤモンド砥石で荒研ぎすると鎬面はヘアライン状(細かい溝状)に削れてしまいますが、黒幕#320で研ぐだけで平面に戻してくれます。荒研ぎというより、鎬面を整えてくれる砥石として使うのがおすすめです。

黒幕#320で研いだ鑿

黒幕#320で研いだ鑿

なお、黒幕#120と#320は多少水を吸いますので、使う5分くらい前に水に漬けておくと使いやすくなります。

中砥

中研ぎにおすすめの黒幕#1000

中研ぎにおすすめの黒幕#1000

中研ぎは、中砥(なかと)を使って刃を完全な平面にすることが目的です。

中研ぎでおすすめなのは黒幕#1000です。中砥石にしては固くて平面が崩れにくく、それでいて強力な研磨力がある砥石です。

黒幕#1000で研いだ鑿

黒幕#1000で研いだ鑿

さくや
私は、黒幕#1000こそが黒幕シリーズのMVPだと思ってるよ。使ったことが無いのなら、ぜひ使ってみてほしい

黒幕#1000は事前に水を吸わせる必要はありません。使用直前に水をかけて、ときどき水を数滴補給するくらいで十分です。

砥石って、茶色いレンガみたいなものかとおもってた
はろ子
さくや
キング砥石のイメージだろうね。私も長いことキングの中砥石を使ってたな
今は使ってないの?
はろ子
さくや
キング砥石は砥石面が崩れやすくてね・・面直しが本当に大変だった。

黒幕シリーズに出会ってからはキング砥石を使わなくなってしまったな

仕上げ砥

最後の仕上げ研ぎは、仕上げ砥(しあげと)を使って研ぎ傷を消して刃先を仕上げることが目的です。

この段階では砥石で刃に付けた細かい傷があると、刃先がミクロレベルでノコギリのようになってしまいます。それでは切れ味が落ちてしまうため、刃の傷を完全になくすことが重要です。

仕上げ研ぎにおすすめの黒幕#8000

仕上げ研ぎにおすすめの黒幕#8000

仕上げとぎのお勧めは黒幕#8000です。黒幕#1000で付けたわずかな研ぎ傷をきれいに取り去ってくれます。

ちなみに黒幕シリーズには#1500、#2000、#5000といった中砥石もありますが、私は特に必要性を感じていません。#1000の次に#8000で問題なく仕上げることができます。

黒幕#8000で研いだ鎬面

黒幕#8000で研いだ鎬面

砥石の問い傷を消すというとは刃が鏡面になるということでもあります。鏡面にすることが目的ではありませんが、仕上げ砥石で磨いた鎬面はやっぱり見ていて気持ちの良いものです。

なお、黒幕#8000を使う際は水をつけたまま長く放置してはならないという点に注意してください。

黒幕シリーズの仕上げ砥石は水を吸ってふやけてしまう(?)性質があるので、使用前に水をかける程度で十分です。使用後は水を軽くふき取って乾かすようにしましょう。

また、黒幕シリーズには#8000よりさらに上の超仕上げ砥石も存在しますがDIYでは必要ありません。#8000で十分な切れ味が出ます。

さくや
もちろん、さらに上の切れ味を求めるのであれば超仕上げ砥石を買ってみてもいいよ

鑿の研ぎ方

さていよいよお待ちかね(笑)、鑿の研ぎ方の説明です。

今回は例としてこちらの鑿を研いでみます。中古の一寸鑿です。

一寸鑿(表)

中古一寸鑿(研ぐ前・表)

一寸鑿(研ぐ前・裏)

中古一寸鑿(研ぐ前・裏)

中古一寸鑿(研ぐ前・鎬面)

中古一寸鑿(研ぐ前・鎬面)

中古で購入した鑿のため、見ての通り刃はボロボロです。鎬面は何度か研がれた形跡があり、三段刃になっています。

鑿の刃の角度は30度が理想(そうなってない

鑿の刃の角度は30度が理想(そうなってない

刃の角度は・・三段刃なのでよくわかりませんが、およそ34度以上になってますね。

刃先だけを研いでしまうと、刃の角度は30度以上になることが多いものです。もちろんこのままでは切れませんので、刃の角度を修正する必要があります。

これを直すのは大変そうだ
はろ子
さくや
そうでもないよ?この後紹介する方法なら、30分もあれば仕上げ研ぎまで終わらせることができる
え~、刃物研ぎってそんなにかんたんなの?
はろ子
さくや
実用レベルの切れ味でよければね
実用レベル以上の切れ味って?
はろ子
さくや
芸術レベルww もちろん、この記事ではそのレベルは目指してないよ

なお、ここから鑿の研ぎ方について詳しく説明していきますが、刃裏の研ぎ方は割愛しますのでご了承ください。

刃裏は切れ味を追求する上で非常に重要になることは承知していますが、裏出し・裏押し・裏スキなどを語り始めると長くなること、DIYレベルでは刃裏が問題になることはあまりないことが理由です。また別の機会に記事にさせてください。

研ぎガイドとは

初心者が鑿を研ぐ場合、フリーハンドで研ぐのは絶対に無理です。というか、私には無理でした。

じゃぁどうすればいいの!?

という話ですが、これを解決する方法があります。

刃物を研ぐための治具、いわゆる『研ぎガイド』を使う方法です。

研ぎガイドとは、鑿や鉋などの刃を研ぐときに補助的に使う道具(治具)のことです。研ぎガイドを使うことで、初心者でもかんたんに刃物を研ぐことができるようになります。

さくや
職人から見れば、研ぎガイドは邪道なんだろうなぁ
はろ子
道具に頼らず腕を磨かんか~いっ・・ってことね
さくや
でも私たちDIYerは、鑿研ぎの腕を上げたいのではなく、鑿を使いたいだけなんだよね。

だから治具を使っても問題ないと思うんだよ

ノコギリ直角ガイドのときみたいに、治具を使い続ければ研ぎの腕も上がる?
はろ子
さくや
それはわからない・・。

鑿研ぎはそんなに簡単じゃないな・・とは感じてるよ

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私が使っている研ぎガイド

私が使っている研ぎガイドは、西洋鉋の記事でも紹介した『Veritas マークII ホーニングガイド』です。

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Veritas ホーニングガイド

Veritas ホーニングガイド

この道具の特徴は三つあります。

  • 刃の角度を正確に設定することができる治具が付属している
  • 刃を上下で挟み込む構造で、鑿の刃でもしっかり固定できる
  • ローラーが幅広で、研ぎの際に手ブレしないので正確な刃付けができる

このホーニングガイドは本来は西洋鉋用の道具ですが、幅の狭い鑿でも使うことができます

実際、私はこれで一分鑿を研いでいます。

ホーニングガイドで一分鑿を研ぐ

ホーニングガイドで一分鑿を研ぐ

一分鑿も研ぐことができる

一分鑿も研ぐことができる

Veritas以外のメーカーでも研ぎガイドは販売されています。たとえば角利産業の『ホーム研ぎ器』もVeritasと同様の特徴があります。

上下で刃を挟む構造、幅の広いローラーを持つので安定して研ぐことができます。

国産の治具が良ければこちらがおすすめですが、角度を設定する治具は付属しないため自作する必要があります。

研ぎガイドに鑿をセット

ここから先は、Veritasのホーニングガイドを例に使い方を説明します。

まず、研ぎガイド本体に付属の角度設定治具を取り付けます。ガイド面にあるネジを動かして、角度が30度になるようにしておきます。

角度設定治具をセット

角度設定治具をセット

角度設定治具をセットしたら裏返し、鑿を研ぎガイドにセットします。

鑿が角度設定治具のフェンス(横のガイド)にぴったりつけたまま、研ぎガイド本体のねじを締めて鑿を固定します。こうすることで鑿がまっすぐに固定されます。

鑿をホーニングガイドにセット

鑿を研ぎガイドにセット

Veritasホーニングガイド本体のネジは両サイドに二つありますが、両方を交互に少しずつ締めるのがコツです。

片方だけ強く締めると、鑿が傾いてしまい正確な刃付けができなくなりますので注意してください。

鑿を固定したら、角度設定治具を外して準備完了です。

鑿を固定完了

鑿を固定完了

一連の操作を動画でしたものがあります。西洋鉋の刃で実演していますが、鑿でも全く同じです。参考にしてみてください。

それではいよいよ、砥石を使って鑿を研いでいきます!

荒研ぎの方法とポイント

黒幕#120による荒研ぎ

黒幕#120で荒研ぎ

黒幕#120で荒研ぎ

上の写真では黒幕#120を使っています。

あらかじめ水を吸わせた砥石を置き、研ぎガイドにセットした鑿を砥石の上に置いたら、両手で研ぎガイドを持って前後に動かしてください。

研ぎガイドの持ち方は、もちやすい持ち方で大丈夫です。ただし左右で力の入れ方が変わると刃が傾いてしまうため左右同じ力で押さえることが大切です。

動かすストローク(前後の距離)は、砥石の奥半分を目安にしてください。

研ぎガイドを使う場合は、砥石の手前半分で研ぐことができません(研ぎガイドが足を踏み外してしまうので)。

なので砥石の向こう半分を前後に動かしつつ、砥石の左右をバランスよく使うようにすることで砥石面の減りを最小限に抑えることができます。

しばらく研ぐと、砥石にあたる部分から研ぎ下ろされていることがわかるようになります。

砥石にあたる部分から研ぎ下ろされていく

砥石にあたる部分から研ぎ下ろされていく

このまま続ければ砥石にあたる部分が徐々に広くなり、最終的には鎬面がぴったり砥石につくようになります。

そうなるまで荒砥で頑張りましょう。目安としてはダイヤモンド砥石で5分程度黒幕#120なら20分~30分程度というところです。

また、砥石は研ぐたびに凹みます。砥石の平面保持力(硬さ)にもよりますが、荒砥は平面が崩れやすいのでこまめに面直しをするようにしましょう。

砥石の半分を使って30秒ほど研いだら、砥石の前後を反転させて反対側で30秒研ぐ、それが終わったら面直しをする・・といったサイクルが基本です。

特に、次の砥石に移る前にはしっかりと平面に直した砥石で丁寧に研いで、鎬面をできる限り平面に近づけておくようにしましょう。

黒幕#120の荒研ぎ完了

黒幕#120の荒研ぎ完了

荒砥の研ぎ終わりが近くなると、刃の先端の刃裏側に『刃返り(はがえり)』が出ます。

目に見えない程度に刃が反り返っている状態ですが、指で触るとはっきりとわかるはずです。

刃返りが刃の先端すべてで出ていれば、この段階の研ぎは完了です。

ちなみに荒砥で刃返りを取る(刃裏を研ぐ)のは絶対にNGです。刃返りを取りたくなっても、まだ我慢してください(笑

けっこう時間がかかるんだね~
はろ子
さくや
鑿の状態によるね。今回使った鑿は刃欠けありの三段刃という厄介なものだったから、時間がかかった方だよ
それでも20分はしんどくない?
はろ子
さくや
それが気になるならダイヤモンド砥石だね!

あっというまに終わるよw

なお、上の写真ではまだ刃欠けが残っていますが、この鑿はこれで良しとしています。

刃欠けを完全に修正する場合は刃を大きく削ることになるためもったいないのです。

いったん刃欠けがある状態で使い、次回の研ぎでまたすこし修正する・・というケチな道具を大切にする研ぎ方をしています。

黒幕#320による荒研ぎ

次に黒幕#320で同じように研ぎます。

ここでの目的は#120で付けた研ぎ傷をなめらかにすることです。

黒幕#320で研ぎ傷を減らす

黒幕#320で研ぎ傷を減らす

先程の黒幕#120の荒研ぎは時間がかかりましたが、ここから先はそれほど時間がかかりません

黒幕#120で研いだ際に鎬面を平面にしていれば、黒幕#320での研ぎは5分もあれば十分です。

刃返りが出たままになりますが、ここでも刃返りは取らないでください。

なんで刃返りを取っちゃダメなの?
はろ子
さくや
荒砥で刃裏を研ぐと、刃裏がボロボロになってしまうからだよ。

刃裏はすごく重要だからできる限り崩したくないんだ。

あとはまぁ細かいけど、刃返りが大きい状態で取ろうとすると刃先が荒れるという理由もある

中研ぎの方法とポイント

次は中研ぎです。黒幕#1000を使って鎬面を完全な平面にすることを目標にします。

研ぎ方はこれまでと同様ですが、研ぎの精度を上げるために研ぎガイドを動かすストロークは砥石の1/3~1/4にします。ストロークが短い方が鎬面の平面の精度は上がり、刃先は緻密になっていきます。

また、刃返りが大きく残っている場合は中砥で軽く取っておきましょう。

刃返りの取り方

刃返りを取る際は、まず砥石をしっかりと面直しして平面にしておきます

その後で、鑿の刃裏を砥石の縁にピッタリと押し付けます。研ぎガイドはセットしたままで大丈夫です。(むしろ外すのがNG)

刃返りの取り方

刃返りの取り方

刃裏を砥石に押し付けたまま、刃先が砥石にあたるイメージを持ちながら、ゆっくりと前後に動かします

数回動かすだけで刃返りが取れるはずなので、指で触って確認してみてください。

イメージなんてあいまいだよ~
はろ子
さくや
刃裏はぴったり砥石に付けるんだけど、先端の方に力をかけるような気持ちが大事なんだ
それなら『刃先側を砥石に付けて』って言えばいいじゃない
はろ子
さくや
それもダメなんだよ。刃先だけ研ぐのはNGだって最初に説明したよね。

だから『イメージ』程度でOK。これでも結構変わるもんだよ

なお、中砥では一回だけ刃返りを取れば十分です。刃返りを取った後、再度鎬面を研いでわずかな刃返りを出しておいてください。

仕上げ研ぎの方法とポイント

最後に、黒幕#8000を使って仕上げ研ぎをします。

最初はこれまで同様に研いで、鎬面の細かい傷を消して鏡面になるようにします。

その後、最後の仕上げ研ぎをします。ポイントは以下の通りです。

  • ストロークを砥石の1/4~1/6くらいにして、短く細かく、ゆっくり研ぐ
  • 刃返りが出たら刃裏を研いで刃返りを取る・・を繰り返すが、刃返りを出す量を次第に小さくしていく
  • 最後は鎬面と刃裏をちょっとだけ研いで、刃返りが出ないようにして終わらせる

徐々に先端を鋭利にして仕上げるというイメージです。刃先を意識しますが、刃先だけを研がないように気を付けましょう。

黒幕#8000による仕上げ研ぎ

黒幕#8000による仕上げ研ぎ

これで研ぎ上がりです!

研いだ後は研ぎガイドから鑿を外し、鑿と研ぎガイドをしっかりと水洗いしておきます。特に研ぎガイドの方は研ぎ汁がついていると錆の原因になるため注意してください。

しっかり乾燥させた後、鑿は椿油などを薄く引き、研ぎガイドはネジとローラー部分に機械油をさしておきましょう。

砥石に油が付くのでは・・と心配になるかもしれませんが、全く問題ありませんので安心してください。

なお、研ぎ上がり後に角度を測ってみると、ぴったり30度になっていることがわかります。

研ぎ上がり後の刃の角度は30度ぴったり!

研ぎ上がり後の刃の角度は30度ぴったり!

こうして研ぎあげた鑿は、使っていくうちにまた切れ味が落ちてきます。

そうなったときは、また同じ研ぎガイドにセットして中砥(黒幕#1000)から研ぎなおしましょう。

この時は荒砥は必要ないので、研ぎ時間は10分~20分もあれば十分なはずです。しっかりと研ぎ角度を設定できる研ぎガイドならではのメリットです。

後日談

先程の鑿は、その後何度か研ぎなおしたおかげで刃欠けが完全になくなりました。

完全復活した一寸鑿

完全復活した一寸鑿

ここまで研ぐと、もう怖いものはありません。大抵の木材をサクサクと削ることができます。表面加工もホゾ加工も思いのままです。

このように、研ぎガイドを使えば誰でも同じように鑿を研ぐことができます

そしてこの方法は幅広の鑿でも、細い鑿でも応用可能です。

ぜひ研ぎガイドを使って、さまざまな鑿の研ぎにチャレンジしてみてください。

なお、研ぎの際にとても役立つ『研ぎ台(砥石台)』をこちらの記事で紹介しています。砥石がグラつくのが気になる方は是非読んでみてください。

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刃物を研ぐときには、砥石をしっかり固定できる砥石台(研ぎ台)が必須です。市販の砥石台をタイプ別で紹介しつつ、どんなサイズの砥石でも固定できる自作砥石台の作り方を紹介します。

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それでは、またお会いしましょう!

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さくや

DIYと木工と刃物研ぎとキャンプが趣味のシステムエンジニア。賃貸住宅でもできるDIYをメインテーマに、DIY特化ブログを運営しています。 相方のこのはは記事作成の他にブログのイラストを担当。ココナラとスキルクラウドで出品もしています。ぜひご利用ください

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