木工 道具・治具

45度で木材を切るには ~角度調整式・留め切り治具の作り方

45度で木材を切るには《角度調整可能》留め切り治具の作り方

さくや(@sakuyakonoha77)です。

DIYや木工をしていると、ぜひ作ってみたくなるのが額縁ですよね。

そこで必ず直面するのが45度の壁、いわゆる留め切り(とめぎり)です。

木材を正確な45度で加工するのは非常に難しいものです。しかし適切な道具(治具)を使えば、留め切りはとても簡単にできるようになります。

この記事では、木材を正確な45度で加工する方法について

  • ノコギリを使う方法(留め切りガイド)
  • 鉋を使う方法(留め削り台)

の二種類をご紹介します。

ぜひご自身に合った方法で留め切りにチャレンジしてみてください!

なお、ここで作成する留め切りガイドは杉田豊久氏の『超画期的木工テクニック集』を参考にして作成しています。治具とノコギリを使う『ノコギリ木工』の入門書として最適なので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

こんな方におすすめ

  • 木材を正確に45度で切る方法が知りたい
  • 伝統的な留め削り台や、市販のノコギリガイドでは満足できない
  • 丸ノコではなく、手道具にこだわって木工がしたい

留め切りとは

留め切りとは、木材を45度で切ることです。そして留め切りした木材をつなぎ合わせること『留め継ぎ』(とめつぎ)といいます。

『留め』とは

『留め』とは、ある角度(直角に限らなない)で二つの材を接合するときに、二つの材で角度を等しく分けている状態のことです。つまり直角であれば45度/45度、120度であれば60度/60度で分けている状態です。なお、30度/60度のように不均等に分ける場合は阿呆留め(あほうどめ)と言います。

留め切り、留め継ぎはとても一般的な加工方法です。100均で売られている額縁はほぼ間違いなく留め切りでしょう。

さくや
まったく・・留め継ぎの額縁が100円とはね
・・なにに怒ってるの?
はろ子

留め継ぎは身の回りにありふれています。しかし、いざ自分で木材を切って留め継ぎしようとすると信じられないほど難しいことに気づきます。

留め切りの難しさ

まずノコギリでまっすぐに切ることが難しい。これは熟練の職人ならばともかく、初心者DIYerにとっては仕方のないことです。

そしてもちろん、正確な45度に切ることも難しい。仮にまっすぐ切れたとしても、どうすれば正確な45度に切ることができるかという問題になります。

しかも、ただでさえ難しい45度切りなのに、額縁を作るのであれば計8回の45度切りをしなければならない。ちょっとでも誤差があれば8倍に増幅してしまうので、正確無比な45度切りに8回成功しなければならないわけです。

はろ子
無理ゲーすぎない?
大丈夫。策を使えばなんとかなる!
さくや

留め切りの一般的な方法

手加工で留め切りをする場合、一般的にどのような方法があるのか見てみましょう。

伝統的な留め削り台

指物(さしもの;木工家具)の世界などでは『留め削り台』というものが使われます。

木口削り台

留め削り台 (大工道具研究会 編 / 『木工手道具入門』より引用)

これは正確に45度に固定したフェンスを使って、鉋で木材を削る道具です。このように鉋やノコギリなどのサポートをする道具のことを、一般的に治具(ジグ)と呼びます。

しかしこの治具は、察しの良い方ならば気づくと思いますが、正確に45度に設定したガイドをどうやって作るかが一番の問題です。

さらに、使っているうちに歪むなどして狂ったらどうするかという問題も付きまといます。

さくや
もっとも日本の職人は、狂うことをあたりまえの前提として、調整して使いこなしてしまうけどね

マイターボックス

ノコギリで45度/90度で切るのを補助する簡易的な道具として、ホームセンターでも販売されている『マイターボックス』があります。

あらかじめ用意された溝に合わせてノコギリを動かすことで、木材を正確に切ることができるというものです。

簡易的なものではなく、下の写真のようにノコギリと一体化したマイターボックスもあります。@lunapienabytakaさんのツイートの引用です。

古い道具ですが、今でも使い方次第では精度が出るとのことです。『使い方次第では』というところがミソで、この手の道具の難点は精度が悪い場合の調整が難しいことです。

繰り返し使うことで道具のクセを掴み、力加減で微調整する・・なんてことができるのは職人だけなので、初心者にお勧めするのは難しいと思っています。

アンティーク家具など見ることができる留め継ぎは非常に美しい仕上がりなのですが、実は完全な45度であるとは限らないそうです。

前にも登場した@lunapienabytakaさんにお話を伺ったところ、イタリアの職人は加工精度が高いわけではなく、帳尻を合わせるのが抜群にうまいのだとか。日本人が好きな『正確さ』とは全く違う世界の職人芸ですね。

ゼットソーのソーガイド

これはDIYerにはよく知られた方法です。手軽に留め切りをしたいのであればこれが最適解かもしれません。

Zソーガイドは、もはやベストセラーですね!

留め切り(平留め切り)はもちろん、大留め切り(箱作りなどで用いられる、幅の広い45度切り)にも対応できる道具です。

はろ子
専用のノコギリを使わなきゃいけないんだね
構造上、仕方のないことなんだよ
さくや

Zソーガイドベストは、Zソーガイドの改良版です。2種類のノコ刃に対応し、より扱いやすくなっています。

ただし大留め切りには対応できないのが残念なところで、結局旧/新両方のソーガイドを持っている方もいるかもしれません。

ノコギリガイドの自作とかめんどくさい・・と感じる方は、これらの商品を使うのがベストだと思います。

その他(電動工具とか)

他にも、丸ノコやルーターなどの電動工具を使う方法もありますが、ここでは取り扱いません。

さくや
だって、我が家(賃貸住宅)では使えないから・・
家を買うという解決方法は?
はろ子
さくや
(金が)ない。

理想の留め切りガイドとは

さて、私はいろいろ考えました。

どうすれば、手道具で留め切りを実現できるのか。

まず、正確な45度なんて、考えるだけ無駄だと思いました。分度器、留め定規、プロトラクター・・45度を示してくれる道具はいくつもありますが、木材を加工するときには役に立ちません。

そして、治具の角度なんていずれズレるものだと割り切りました。どんな道具も使っていれば歪むし、むしろ作った瞬間から誤差があると考えるべきです。それなら、その誤差を修正できなければ使い物になりません。

こんなことを色々考えた結果、こういう結論に至りました。

角度が調整可能なガイドこそが正義・・!!

というわけで、角度を調整可能な留め切り用の治具を、二種類紹介していきたいと思います。

ノコギリで正確な留め切りを実現 ~角度調整式・留め切りガイド

ノコギリだけでの留め切りはとても難しいものですが、正確なガイドがあれば案外かんたんなものです。

問題はその正確なガイドをどうやって作るのかという点ですよね。

私は一時期、正確なガイドを作ろうと四苦八苦していました・・が、結局私は諦めました。正確なガイドなんて作れないんです。

最初から正確なものがつくれないのなら、使いながら精度を上げていくものを作ろう。

そんなことを考えながら作った治具が、こちらです。

《角度調整式》ノコギリ用留め切りガイド

《角度調整式》ノコギリ用留め切りガイド

パイン集成材のベース板に、フェンスとなるアルミ板を載せ、六角ボルトで固定しています。

フェンスの角度は留め切り用の45度に設定されていますが、誤差がある場合はボルトを緩めることで角度を微調整できるようになっています。

ベース板の側面にはマグネットシートが貼ってあり、ノコギリ加工の際に刃がブレるのを防いでいます。

この留め切りガイドを材料と一緒にクランプすることで、ノコギリで精度の高い留め切りができるようになるわけです。

ノコギリで簡単に留め切りができる

ノコギリで簡単に留め切りができる

それではさっそく、こちらの作り方を紹介していきます。

ノコギリ用留め切りガイドの作り方

材料

ノコギリ用留め切りガイドの材料

ノコギリ用留め切りガイドの材料

ノコギリ用留め切りガイドの材料はこちらです。

  • パイン集成材 150mm x 250mm x  24mm ※サイズは参考値
  • アルミ板 25mm x 200mm x 2mm ※サイズは参考値
  • オニメナット
  • 六角ボルト
  • ワッシャー
  • マグネットシート

各材料の寸法は自由なので、端材など手に入りやすい材料で作成してみてください。

オニメナット、六角ボルト、ワッシャーはすべてM6規格で揃えていますが、それ以外の規格でも問題ありません。

一つだけ重要なポイントがあります。ベースとなる集成材の木端面は、木表・木裏面に対して正確に直角にカットされていることを確認してください。

木端面が正確に垂直にカットされていることが重要

木端面が正確に垂直にカットされていることが重要

ここがノコギリを当てる面になるため、傾いていると切断時の誤差に直結します。スコヤを当てて直角になっていることを確認したら、ここが基準面と分かるように印をつけておいてください。

さくや
鉋で削って直角を出しても良いけど、既製品の直角を利用したほうが早いよ

アルミ板の加工

フェンスとなるアルミ板はが厚さ2mmあれば十分ですが、それ以上でも構いません。

はろ子
これは、アルミじゃないとだめなの?
歪みの無い直線が欲しいからアルミにしているだけだよ。しっかり直線が出ているなら、木材でもOK
さくや

短いアルミ板は手に入りにくいので、長めのアルミ板を買ってから金ノコなどで45度(正確でなくても良い)で切って使います。

アルミ材の大きさの目安と穴あけ位置

アルミ材の大きさの目安と穴あけ位置

このアルミ板は、角度調整の際にわずかに回転させることに注意してください。回転させてもアルミ板がベース板の端からはみ出ないよう、ベース板よりすこし短めにしておくのがコツです。

アルミ板の切り出しが終わったら、アルミ板に穴を空けていきます。穴あけ位置は上の写真の「+」印の2か所です。

はろ子
穴あけ位置の寸法は?
フィーリングでOK!
さくや

アルミ板に穴を空ける際は、ドリルビットがブレるのが嫌なので、センターポンチで印をつけておきました。

センターポンチで印をつける

センターポンチで印をつける

このようにセンターポンチを立てて、金づちでカツンと叩くと、アルミ板に印が付きます。

センターポンチで付けた印

センターポンチで付けた印

こうしておくことで、ドリルビットの先端がブレることなく正確に穴を空けることができます。

ここから先のドリル加工は、もし持っていれば電動ドリルドライバードリルガイド鉄工用ドリルビットを使うのがお勧めです。

電動ドリルドライバーにドリルガイドと金工ドリルビットを装着

電動ドリルドライバーにドリルガイドと金工ドリルビットを装着

ドリルビットは、ボルトの直径よりも少し大きめのものを使用します。アルミ板の可動域を確保するためです。

M6(直径6mm)のボルトであれば、8mm程度のドリルビットで穴を空けます。

さくや
太いドリルビットを使ったほうが、あとで調整できる幅が大きくなっていいよ
あまり穴が大きいと、ボルトが抜けない?
はろ子
さくや
そこはワッシャーとの兼ね合いだね。ワッシャーで押さえられる程度の穴にしておけばいい

ドリルの用意が整ったら、アルミ板に穴を空けていきます。

アルミ板に慎重に穴を空ける

アルミ板に慎重に穴を空ける

アルミ板には貫通穴を空けるので、不要な木材を下敷きにしています。

また、アルミ板は幅が狭くドリルガイドが安定しにくいので、同じアルミ板を横に並べて安定しやすいようにしています。

注意

力ずくで穴を空けようとすると、アルミ板がドリルビットに食いついて回ってしまい危険です。力をかけないで少しずつ、慎重に削るようにしてください。できればアルミ板をクランプ等で固定することをお勧めします。

ベース板の加工

アルミ板に穴を空けたら、それをベース板に乗せて位置を決め、アルミ板の穴の中央めがけてセンターポンチで印をつけます。こうすることでベース板の穴あけ位置に印が付きます。

アルミ板の位置を決めたら、ベース板にもセンターポンチで印をつける

アルミ板の位置を決めたら、ベース板にもセンターポンチで印をつける

印をつけたベース板に、アルミ板と同じ要領でドリルで穴を空けます。

この時の穴の径は、オニメナットの下穴径に合わせます。私が使ったM6オニメナットの場合、下穴径は8.7~9.0mmと指定されていたので9.0mmの金工用ドリルビットで穴を空けました。

下穴を空けたらオニメナットを埋め込みます。

下穴を空けてオニメナットを埋め込む

下穴を空けてオニメナットを埋め込む

ツバ有りのオニメナットを使う場合は、ツバが木材に沈み込むように、ボルト穴の周囲を少し掘っておくのがお勧めです。

さくや
あとで直角ガイドとして使う場合に邪魔になるからね
直角ガイドってなんのこと?
はろ子
さくや
あとでわかる

マグネットシートの貼り付け

オニメナットを埋め込んだら、ベース板の木端のうち直角が出ている方(基準面)にマグネットシートを貼ります。

木端面にマグネットシートを貼る

木端面にマグネットシートを貼る

少し大きめのものを張り付けて、周囲をカッターで切り落とすときれいに仕上がります。

アルミ板の取り付け

マグネットシートを貼ったら、加工しておいたアルミ板を六角ボルト&ワッシャーで取り付けます。

アルミ板を六角ボルトとワッシャーで取り付ける

アルミ板を六角ボルトとワッシャーで取り付ける

このとき、基準面に留め定規を当てておき、基準面とアルミ板が45度になるように固定します。

ここで45度がズレてしまってはダメなんだろう・・と思ってしまいがちですが、実際はどんなに頑張っても一発で角度が決まることはありません。気楽に取り付けて固定しましょう。

さくや
基準面じゃない方とあわせても意味が無いから、注意してね
マグネットシートが貼ってある方を使えばいいんだね
はろ子
さくや
(実は私は両方の木端面にマグネットシートを貼ってしまったんだけど・・)

なお、アルミ板を固定する六角ボルトはオニメナットを埋め込んだ面の反対側から取り付けるのがポイントです。

留め切りガイドの裏面

留め切りガイドの裏面

上の写真ではオニメナットの中にボルトが見えており、ボルトの頭が見えていないので、反対側からボルトを差し込んでいるのがわかると思います。

オニメナットは打ち込んだ面の方向に引っ張ると抜けてしまう可能性がありますが、反対側から引っ張れば抜けることがありません。

その性質を利用するために、あえて反対側からボルトを挿し込んでいるわけです。

これで、ノコギリ用留め切りガイドの完成です!

はろ子
おつかれ~♪
実は、オマケがあるんだよw
さくや

(おまけ)留め切りガイドを直角ガイドとしても使うために

この留め切りガイドは、ひと手間くわえるだけで直角ガイドにもなります。とても便利なので、ぜひ試してみてください。

方法は簡単で、オニメナットを埋め込んだ方の面に、まっすぐなフェンス材を直角に張り付けるだけです。

直角フェンスを取り付ければ、直角ガイドにもなる

直角フェンスを取り付ければ、直角ガイドにもなる

このフェンス材は厚さ2mm、幅5mmのアルミ棒を使っています。直線であれば何でもよく、木材でも構いません。

取り付け位置は木口面(上の写真の左右)から5cm程度離した位置がお勧めです。

ノコギリを挽くとき、手元側の数cmは手振れによる誤差が出やすいので、あえて材料のクランプ位置を中央寄りにして手振れ誤差の影響を受けにくいようにしています。

取り付け位置を決めたら、スコヤを当てながら、フェンス材を基準面に対して直角に貼り付けます。

さくや
ここでも基準面が大事!

アルミと木材の貼り合わせのときに接着剤で悩むかもしれませんが、写真に写っている瞬間接着剤でも十分です。

はろ子
こっちは、角度調整式にしないんだね
直角ガイドでは、角度調整の必要性を感じたことが無いんだよなぁ。なんでだろう?
さくや
はろ子
額縁みたいに、誤差が増幅されることが無いからじゃない?
なるほど、そうかもしれない
さくや

ノコギリ用留め切りガイドの使い方

留め切りガイドは、材料と一緒にクランプして使います。

材料を留め切りガイドの斜めフェンスに合わせてクランプ

材料を留め切りガイドの斜めフェンスに合わせてクランプ

材料をノコギリ用留め切りガイドのアルミ板にぴったり付けて、そのまま作業台にクランプします。

上の写真では、作業台の上に材料があり、その上に留め切りガイドが乗ってクランプされている状態です。ちょっと見にくいですが、留め切りガイドの右に材料の端が見えています。

この状態で、右側のマグネットシートにのこぎりの刃を付けて、そのままゆっくりとノコギリを挽きます。

ノコギリで簡単に留め切りができる

ノコギリで簡単に留め切りができる

とても簡単に45度切りができているのがわかると思います。

45度の精度を調べるには、額縁などを作ってみるのが一番です。

はろ子
45度と45度を合わせて直角を見ればいいんじゃないの?
それでもいいけど、本当の誤差は額縁にしてみないとわからないものなんだ
さくや

45度にズレがあると感じる場合は、アルミ板を押さえつけているボルトを少しだけ緩めアルミ板の角度をわずかに変えてボルトを締め直しま

さくや
アルミ板が大きく動かないように、少しだけ緩めるのがコツ

この方法で角度を微調整しながら、ちょうどいい角度を見つけてみてください。

さくや
面倒に思うかもしれないけど、自分にピッタリの治具を作るにはこの方法しかないんだ
調整できるのが良いところだから、調整しないとね
はろ子

何度か調整してちょうどいい角度になれば、あとはガイドを信じて切るだけで完璧な留め切りができるようになります。

留め切りを繰り返して作った額縁

留め切りを繰り返して作った額縁

なお、額縁を作る場合は留め切りのほかに『同寸切り』という、縦框と横框をそれぞれ全く同じ長さで切るテクニックも必要になります。

同寸切りについてはこちらの書籍のp.33、『同じ長さの材を切り出す』という項目で紹介されています。よろしければ読んでみてください。

(おまけ)直角ガイドとして使う場合

この道具を直角ガイドとして使う場合は、直角フェンスが下に来るようにしてセットします。

直角ガイドとして使う場合は、直角フェンスを材料に当てる

直角ガイドとして使う場合は、直角フェンスを材料に当てる

上の写真のように、下面にある直角フェンスを材料に当ててクランプし、ノコギリで切ることで正確な直角で切ることができます。

水平面の直角ヨシ!

水平面の直角ヨシ!

垂直面の直角ヨシ!

垂直面の直角ヨシ!

一台で直角切り・留め切りに対応できて、手軽に使えるのでとても便利な道具だと思います。

鉋で正確な留め切りを実現 ~角度調整式・留め削り台

ノコギリ用留め切りガイドを使えば、ノコギリでもかなりの精度で留め切りができるようになります。同寸切りができれば額縁を作ることも十分に可能になります。

しかしノコギリは切断面がやや荒れるので、ぴったり貼り合わせたときに断面が気になってしまうかもしれません。

ノコギリ以上の精度で精密なカットがしたい場合は、鉋を使って切断面を仕上げ削りする必要があります。

そこで役立つのが角度調整式の鉋用留め削り台です。それがこちらです。

角度調整式木口削り台

さくや式留め削り台

この留め削り台は、鉋(和鉋 or 西洋鉋)と組み合わせて使うことで威力を発揮します。

鉋を使ったことが無い方も多いとは思いますが、ノコギリ以上の精度で加工したいのであれば鉋が必須です。初心者のための記事も用意していますので、あわせて読んでみてください。

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鉋用留め削り台の設計図

鉋用留め削り台の設計図

角度調整の仕組み

角度調整用のボルト

角度調整用のボルト

角度を決めるためのフェンスは、直角のL字金具に全ネジで固定されています。

その全ネジに固定しているナット二つを回すことで全ネジが前後に動き、フェンスの角度を調整できるというわけです。

ナットを回して角度を調整する

ナットを回して角度を調整する

それでは、鉋用留め削り台の作り方を見ていきます。

鉋用留め削り台の作り方

材料

・MDF板(15mm厚、5mm厚)

・角材(材料は何でもよい)

・全ネジボルト、六角ナット、オニメナット、ネジ、ワッシャー、L字型の金具など(ネジの太さはM6などで統一する)

材料は目安です。ベース板は誤差が無いものが良いのでMDFをお勧めしますが、そのほかは手に入りやすいもので構いません。

ネジの太さが異なるとなにかと苦労するので、M6などで統一します。重要なのはL字型の金具で、ホームセンターによって取り扱いが異なるので、手に入るものに合わせてネジやボルトを揃えてください。

ベース板の準備

まずはベース板を用意します。15mm厚の板と5mm厚の板の二つを貼り合わせ、下のような台を作ります。

台の設計

台の設計

手前にある段差は鉋を横向きで滑らせる部分になります。

段差の厚みは手持ちの鉋に合わせる必要があるので注意してください。この厚みは、鉋の側面から鉋刃の端までの距離よりも大きい必要があります。西洋鉋(ブロックプレーン)であれば5mmで十分ですが、和鉋の場合は10~15mm程度必要になります。

また、段差の部分はしっかり直線が出ている必要があります。100均で買ったMDF板の端を、そのまま利用するのが一番簡単です。

なお、上の図ではベース板に6か所の穴が開いていますが、この時点ではどこに穴を開ければいいのかがわからないので無視して構いません。

ベース板の準備ができたら、次はフェンスとなる角材の加工をします。

フェンス材の加工

フェンスとなる角材(2本)の両端は45度で切断しておきます。ここの角度は正確でなくても大丈夫です。留め定規で墨付けをし、ノコギリでおおざっぱに切り落としましょう。

その後、フェンスの中央付近にボルト挿し込み用のオニメナットを埋め込みます。埋め込み位置はL字金具の形によって変える必要があるので、手に入った材料で慎重に位置合わせをしてください。

フェンスの中心線上に下穴をあけ、オニメナットを埋め込みます。

フェンスの作り方

フェンスの作り方

オニメナットに差し込む全ネジは、長い全ネジを買ってきて加工します。金属加工は木工と比べると骨が折れますが、金属用のノコギリがあればそれほど難しくはありません。

全ネジが用意できたら、取り付け用のワッシャー、バネ座金、ナットを用意します。フェンス2本分になるので、ワッシャーx2、バネ座金x2、ナットx6が必要です。

さくや
たくさんはいらないからホームセンターで必要量だけ買ってくれば大丈夫。種類もこだわらないから、好みで選んでOK

なお、バネ座金は無くても大丈夫です。ばね座金があれば緩みにくくなるというだけなので、お好みで使ってください。

用意した金具をフェンスに取り付けていきます。フェンスに全ネジをねじ込み、ワッシャー、バネ座金、ナットの順で全ネジに通し、レンチで締めます。※M6用六角ナットなら、レンチは10mm

レンチで締める

レンチで締める

フェンスの金具取付完了

フェンスの金具取付完了

ベース板にL字金具取付用の貫通穴をあける

フェンスに金具を取り付けたら、ベース板にフェンス2本を置いてL字金具の位置を確認します。今回はこのような金具を使いました。

直角金具

直角金具

金具はホームセンターによって取り扱いが異なるため、手に入りやすいものを使って大丈夫です。金具によって穴をあける位置も変わりますのでうまく調整してください。

L字金具の位置が決まったら、ベース板に固定するためのボルトを通す位置に印をつけて、貫通穴を開けます。

今回はボルトをナットで固定する方式にしたため、裏面に座繰り穴を空けました。面倒な場合はベース板にオニメナットを埋め込んでもOKです。

裏面の座繰り穴

裏面の座繰り穴

さくや
ちなみに座繰り穴と貫通穴をあける場合は、座繰り穴をあけてから貫通穴をあけると作業しやすいよ

フェンスとL字金具の取り付け

ベース板に穴を開けたら、フェンスとL字金具を取り付けていきます。

まずはベース板にL字金具を取り付けます。ベース板裏面の座繰り穴にナットを入れておき、表面からワッシャー、バネ座金、六角ボルトを取り付けて締め付けます。

次にフェンスを取り付けます。ベースの、二本のフェンスが合わさる部分(下写真の上部)の裏面から長めの六角ボルトを差し込み、表面まで貫通させます。

フェンスの取り付け

フェンスの取り付け

なお、台の裏面の座繰り穴には六角ボルトの頭が納まっています。六角ボルトの長さは台やガイドの厚みに合わせて調整してください。

六角ボルトの頭は、座繰り穴に埋まるように

六角ボルトの頭は、座繰り穴に埋まるように

フェンスの先端にも貫通穴をあけ、先程貫通させたボルトに差し込み、上からワッシャー、ナットを取り付けて軽く締めます。フェンスの合わる先端部分は、ベース板の段差の上に5mm程度はみ出すように取り付けてください。このはみ出た部分はあとで削り取ります。

フェンスを取り付けたら、ベース板の段差とフェンスが45度になるように設定し、各ナットを締め付けて固定します。ただしこの角度は後で調整可能なので、あまりこだわる必要はありません。

留め定規でフェンスを45度に設定

留め定規でフェンスを45度に設定

ベース板の裏面にフックを取り付ける

ベースの裏面両端には、この留め削り台を作業台ひっかけるためのフックを取り付けます。ある程度の厚さがあれば材料は何でもよいので、あまっている端材などを利用してください。

裏面にストッパー取り付け

裏面の両端(左右)にストッパー取り付け

フックを両端に取り付けているのは、この留め削り台の向きを反転させても使えるようにするためです。和鉋・西洋鉋・右手・左手で使うことがあるので両方に付けておくと便利です。

フェンスの先端を鉋で削る

鉋を使って、フェンスの合わさった先端部分を削ります。最初は先端を少しずつ削っていきますが、最終的には台の段差に合わせて鉋を滑らせるようにし、鉋がひっかからなくなるまで削るようにします。

ガイドの先端を削り取る

ガイドの先端を削り取る

さくや
先端はとても割れやすいので、鉋で削るときは気を付けてね

この留め削り台は和鉋と西洋鉋のどちらでも使用できますが、使い方が少し異なります。

和鉋の場合は引き削りになるので、鉋を奥から手前に引く形で使います。

西洋鉋の場合は押し削りなので、鉋を手前から奥に押す形で使うことになります。

いずれの場合でも、台の裏面にあるフックを作業台にひっかけることで留め削り台が動かないように固定できます。

作業台にフックをひっかけて使用

作業台にフックをひっかけて使用

最後に、フックの側面に細長く切った紙ヤスリを貼り付けておきます。材料を押し当てるときのすべり止めになり、作業がしやすくなります。

留め削り台の完成!

留め削り台の完成!

これで作成完了です。言葉で説明すると難しいのですが、書かれている通りの材料や作り方で進める必要は無いので、手に入りやすい材料や金具を使って自由にアレンジして作ってみてください。

鉋用留め削り台の使い方

木材をフェンスに押し当てて置き、鉋を台の段差に合わせて滑らせて、木材の木口をすこしずつ削るようにします。

材料の削り方

材料の削り方

最初はサクッ、サクッと削れますが、繰り返すうちに手ごたえが無くなります。手ごたえが無くなったら材料の仕上がりを確認し、さらに削る場合は先端がすこし突き出るように置き直して削ります。

このとき材料の木口面を霧吹きで湿らせておくときれいに削ることができます。いちどにたくさん削ろうとすると断面が荒れるため、仕上げの際にはできる限り薄く削るようにしてください。

さくや
鉋の切れ味はできる限り良くしておいて、力を抜いて鉋を滑らせるのがコツ。力を入れてリキむと、鉋が傾いたりして正確な断面が作れないから

反対向きの留め削りをする場合は、反対側のガイドを使います。

反対側も使用可能

反対側も使用可能

はろ子
上の写真って、左手で削ってる?
そのとおり。利き手じゃない方で鉋を使うのは難しいけど、慣れれば大丈夫。留め削り台の向きを変えるのではなく、材料を反転させて同じフェンスを使いまわす方法もあるよ
さくや

フェンスの角度を微調整したいときは、L字金具を挟み込んでいる二つのナットを回します。

はろ子
どっちに回せばいいの?
それは・・言葉で説明するのが難しいから、実際に試して覚えてほしい
さくや
はろ子
うわ、無責任~
ナットを回すことでネジを前後に動かすというのが普段あまりしない操作なので、最初はどっち向きに動くのかがわかりにくいんだよ
さくや

正確な45度を作りたい場合

なお、二本のフェンスを両方使って額縁を作るとき、それぞれの角度が厳密に45度である必要はありません。片方が44度、もう片方が46度でも、合わせれば直角になり問題なく額縁を作ることができるためです。

一方で、一本のガイドのみで額縁を作れるように角度調整していくことで『正確な45度』を作ることもできます。片方のガイドのみで額縁を作ることができたのであれば、その角度は正確な45度になっているということができるからです。

留め削り台を使うと、精度の高い留め切りができる

この留め削り台を使うと、木材をこのように削ることができます。使っている材料はホームセンターで買ってきたパイン材です。

45度で切った木材

4本のパイン材を、正確に45度でカット

木口の木目がはっきり見えるくらい、きれいに切断されているのがわかるかと思います。この美しさはノコギリでは実現できません。

留め定規に合わせて角度を確認してみました。

正確な45度になっています

留め定規に合わせて、45度を確認

わずかに見える定規の目盛りがすべて同じ大きさなので、目視で確認できるレベルでは完全な45度になっているのがわかります。

そして、この木材を組み合わせて作った直角がこちら。

平留め継ぎ

留め継ぎしたときに直角になることを確認

切断面が隙間なく密着しているだけでなく、角がしっかりと直角になっています。この方法で額縁を作成したのがこちらです。

平留め継ぎの額縁

平留め継ぎで作成した額縁(試作品)

これで、ノコギリでも鉋でも、額縁が作れるようになりました!

留め切りのことを考え続けて数年、これらの治具を作るまでに様々なものを参考にしてきました。

ひとつは杉田豊久氏の『超画期的木工テクニック集』です。『ノコギリ木工』のバイブルの一つで、ノコギリと治具を活用して精度の高い加工をしたいのであれば必読です。興味のある方はぜひ読んでみてください。

もうひとつは、その著者である杉田豊久氏に直接指導していただいた『杉田式ノコギリ木工 Zoom道場』です。

これが留め切りガイド
第四回zoom道場レポート ~木材を45度で切るための留め切りガイドの作り方

この記事はZoom道場参加向けの限定公開記事です。   ★☆ 試し読み可能です! ☆★

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ここで紹介した留め切りガイドそのものが登場したわけではありませんが、留め切りガイドを作るために必要な考え方がすべて登場しています。有料記事ではありますが、よろしければご覧ください。

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さくや

DIYと木工と刃物研ぎとキャンプが趣味のシステムエンジニア。賃貸住宅のリビングでもできる『静かなDIY』をテーマにブログを運営しています。

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