さくや(@sakuyakonoha77)です。
DIYに慣れてくると、
『2x4材の表面のガサガサを何とかしたい・・』
『ノコギリで切ったら少しずれてしまったんだけど、ちょっとだけ削って調整できないかな?』
みたいなことが頻繁に起きるようになります。
そういうときに一番良いのは、鉋で仕上げること。でも鉋はちょっとハードルが高いですよね。
そんな方には、初心者でも簡単に扱える『替え刃式鉋(かえばしきかんな)』をおすすめします!
今の時代は、大工さんも替刃式鉋を使うことがあるくらいに普通に使われている道具です。
手ごろな価格で買うことができて、とても扱いが簡単な道具なので、ぜひ替え刃式鉋を使ってワンランク上のDIYにチャレンジしてみてください!
こんな方におすすめ
- 鉋ってなに?初心者でも使えるものなのかを知りたい
- 替え刃式鉋のおすすめポイントと、詳しい使い方を知りたい
- 手軽に面取りしたいから鉋を使ってみたい
目次
DIY初心者にお勧めの鉋は『替え刃式鉋』

替え刃式鉋はDIY初心者におすすめ
鉋と言えば、大工さんがよく使う道具です。DIYをしている方ならば聞いたことはありますよね。
主に、木材の表面を薄く削ったり、角を削ったりするときに使います。
しかし鉋は、知名度の割には実際に使っている人が少ない道具でもあります。


替え刃式鉋の特徴
鉋を使うことに対して抵抗がある方が多いとは思いますが、それは次のような理由があるからだと思います。
- 使い方がわからない
- 刃を研ぐのが難しそう
- 試しに買うにはちょっと高い・・

どれももっともな理由ですが、それを理由に鉋を避けてしまうのはもったいない話です。
なぜなら、『替え刃式鉋』であればすべて解決してくれますから。
もちろん、おいしい話ばかりではないので替え刃式鉋にもメリット・デメリット両方あります。しかし結論から言えば、DIYerにとってはメリットの方が大きくなります。
替え刃式鉋は、価格が安い
まず、替え刃式鉋は安価に手に入れることができます。安いものでは3000円前後から購入可能です。
もちろん『替え刃式』なのでいずれは替え刃を買う必要があり、替え刃は1枚300円程度です。
替え刃1枚でどのくらい使えるかは使い方にもよるのですが、利用頻度が多くないのであれば1枚で数か月使い続けることも可能です。DIY初心者ならば、替え刃が3枚あれば1年くらい使えると思っても大丈夫です。
もちろん、鉋の値段は刃の切れ味に直結します。安い鉋はそれなりの切れ味で、本格的な数万円の鉋(そしてよく研がれたもの)に比べればどうしても切れ味は劣ります。
安かろう、悪かろう・・と言われるかもしれませんが、私ならこう返します。

つまるところ私たちDIYerは、木を削ることができればそれでいいんです。なにも数マイクロメールなんていう、薄絹のような削りくずを出したいわけではありません。
DIYで使うのであれば、3000円台のもので十分なんです。


まな板は削るときれいになる(ただし木製まな板に限る



替え刃式鉋で2x4材を削ってみた
そして何よりも、『安い』というのは最大のメリットです。
高価な鉋を購入する必要がない、刃を砥ぐための砥石を買う必要がない、台を調整するための道具をそろえる必要がない・・
替え刃式さえ買えば、他には何もいらないんです。



そして安いからこそ、思い切って使うことができるというのが、DIY初心者にとって大切なことです。どんな道具も、遠慮して使っていては使いこなすことができません。
思いっきり使って、使い方を覚えて、腕を上げられることが大切なのです。


替え刃式鉋は、刃を砥ぐ必要がない
替え刃式鉋は替え刃式ですので、刃の交換が可能です。

当然と言えば当然ですが、これが替え刃式鉋のもう一つの長所で、刃を砥ぐ必要がないというのが初心者にとって超重要なポイントです。
普通の鉋は切れ味が落ちてきたら刃を砥ぐ必要がありますが、鉋の刃を砥ぐのは至難の業なのです。プロの大工さんでも鉋の刃を砥ぐのは容易ではなく、最近では替え刃式鉋を使う大工さんも増えているくらいです。
私も鉋の刃研ぎにはチャレンジしていますが、まだまだモノにはなっていません。こちらの記事でその一端を紹介していますので、よければ読んでみてください。
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砥石の種類とおすすめ ~研ぎのゴールとアプローチ方法、目的に合った砥石の選び方を詳しく解説
砥石の種類は膨大で、なにを基準に選べばよいのかがわからない方も多いと思います。この記事では、研ぎのゴールとアプローチ方法を詳しく説明しつつ、私が愛用している砥石を紹介していきます。
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一応、和鉋の刃を研ぐための高性能な刃研ぎガイド『初弘グリンテック』もあります。

和鉋の刃を研ぐ専用ガイド『初弘グリンテックK2』
これを使えば簡単に刃を研げるようになりますが、かなり高価で鉋よりも高い(!?)のです。



一方で、替え刃式鉋は研ぎに関する懸念をすべて解消してくれます。刃を砥がなくていいのですから。
切れ味が落ちたと思ったら、遠慮なく刃を交換してください。
ちなみに替え刃は消耗品ですが、実は替え刃を砥ぐことも可能です。砥石を持っている方は、替え刃を研いで繰り返し使うとランニングコストを抑えることができます。
替え刃式鉋の組み立て方
さて、替え刃式鉋について詳しく見てみます。まずは替え刃式鉋を分解してみます。

替え刃式鉋を分解
替え刃式鉋は4つの部品で構成されています。
ポイント
- 鉋台(かんなだい)
- 鉋身(かんなみ)
- 裏金(うらがね)
- 替え刃
鉋身、替え刃、裏金の3枚を重ね合わせてから、鉋台に叩き込めば鉋の完成です。

替え刃式鉋の組み立て方
このとき、替え刃の裏表に注意しましょう。鉋の刃を上に持ってくる人はいないとは思いますが(笑)、替え刃の裏表はよく間違えます。

替刃式鉋の替刃の正しい取り付け方

替刃の誤った取り付け方
違いが判るでしょうか?後者は刃が裏返しになっています。刃の砥ぎ面が見えるようだと間違っていますので、裏返して取り付けてください。
鉋身をたたくときは金槌(玄翁)、もしくは木槌を使います。鉋の刃先が鉋台からわずかに出るくらいに調整します。
よく言われるのは『髪の毛一本分』というのが目安ですが、目で見てもわかりにくい場合は親指の腹で触ったり、実際に削りながら調整してもOKです。

刃をわずかに出す
上の写真では『ぼんやり黒い線が見える』程度ですが、この程度で大丈夫です。刃が出すぎると、厚削りになりすぎて引けません。
刃を出しすぎたときは、台頭の角を木槌で叩きます。

この位置をたたくと鉋身が抜ける
こうして、刃を叩き込んだり、台頭をたたいて刃を抜いたりして、鉋の刃の出具合を微調整します。刃が傾いていると感じたときは、刃の横をたたくのもOKです。
言葉で説明すると難しいのですが、実際やってみるとすぐに慣れます。

替え刃式鉋の使い方
鉋は、木の表面で『引いて』使います。(ちなみに、別記事にする予定の西洋鉋は『押して』使います)
これも言葉で説明するよりは見た方が早いので、動画で紹介しますね。
平面を削る場合
鉋を引くときは腕力を使うのではなく、腰から上全部を使って鉋を動かすようにします。動画のように、鉋をすこし斜めに構えて引いてもOKです。
鉋を扱う際の注意点ですが、鉋の刃を出しているときは、鉋は必ず側面を下にして置いてください。鉋の下には刃が突き出していますので、テーブルなどに直接置くと刃を傷めてしまいます。
あと、実際に使ってみると削り面がケバだったり、ガツガツ引っかかったりすることがあります。そういう場合は大抵、木材を『逆目』(さかめ;木目に対して、刃が潜り込む方向)方向で削ってしまっています。
木材を前後逆にすると『順目』(ならいめ)方向になってきれいに削れるようになりますので、試してみてください。
面取りをする場合
平面を削るときは上の動画のように使いますが、
DIYで出番が多いのは、どちらかというと『面取り』の方です。こちらも動画で紹介します。
ぴゅるるるると、ほそーい削りくずが出ているのがわかるでしょうか。
この方法は簡単です。片手で鉋を斜めに持ち、木材の角に当てて引くだけです。鉋の持ち方次第で、45度の平面で削ったり、丸く削ったりすることが可能です。
鉋での面取りは、通常の木材の時はもちろん、ベニヤ合板の角を丸めるときなどにも大活躍します。

トゲが手に刺さったりして苦労してしまうけど、鉋なら一瞬でできるから快適
替え刃式鉋の手入れ
替え刃式鉋は手入れで神経質になる必要はありませんが、注意しなければならないのは替え刃の部分です。
刃は鋼で作られており、湿気や汚れがついているとサビます。替え刃式なので、サビたら替えてしまえばいいと言われるとそれまでなのですが。

使い終わった鉋は、一度分解して木くずを払っておきましょう。PC用のエアダスターを使うか、100均で売られている筆などを使うと手入れが楽です。
あと、替え刃の先には木のヤニがこびりついていることが多いので、濡れ雑巾でふき取っておくと完璧です。
鉋と治具(ジグ)の話
鉋はとても便利で、使い方次第で思い通りの加工ができるようになります。ただし、鉋だけでは正確な加工は難しいということは付け加えておきます。なぜなら、フリーハンドで鉋を使っている以上、正確な寸法や角度での加工はムリだからです。
たとえば以下のような場合には、鉋を補助するための道具(治具)が必要になります。
ポイント
- 複数の木材を全く同じ幅(あるいは同じ長さ)で切りそろえたい
- 木材の角を正確な90度(あるいは正確な45度など)にしたい
- 全く同じ形のパーツをたくさん作ってぴったりくっつけて寄木細工を作りたい


ここで言っている『全く同じ』『正確な』というのは、目に見えないレベルで正確であるということを指しています。替え刃式鉋で実現することは可能ですが、そのための道具が必要になるということです。
そういった道具のことを『治具(ジグ)』と呼びます。鉋用治具の代表例が『鉋用削り台(Shooting board)』です。こちらの記事で詳しく紹介しています。
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フェンス可動式の鉋用削り台(Shooting Board)の機能と作り方
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まとめ
今回は、DIY初心者向けに替え刃式鉋の使い方を紹介しました。
替え刃式鉋は安価なものでも十分に活躍してくれます。使ってみると、その切れ味と美しい仕上がりに感動すると思います。
ぜひ、みなさんのDIYに替え刃式鉋を取り入れてみてください!
最後にもうひとつ、初心者にお勧めできるもう一つの鉋『西洋鉋』についてご紹介します。

これが西洋鉋
西洋鉋は日本ではあまり知られていないかもしれませんが、日本以外では当たり前に使われている鉋です。こちらの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
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西洋鉋は初心者にもおすすめ! ~購入方法、使い方、メンテナンス方法について
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それでは、またお会いしましょう!
初期不良に注意
Amazonで替え刃式鉋を購入した方から、不良品が納品されたという報告がありました。
Amazonの商品がすべて不良品というわけではありませんが、以下の点でおかしいと感じるようであれば初期不良を疑ってみてください。
・鉋台から鉋身が抜けない
・どれだけ叩いても鉋身が鉋台に入っていかず、刃を出すことができない
※いずれも、木づちや金づちで数回たたけば簡単に抜き差しできるのが普通です。
※逆に緩すぎるという場合もあるかもしれません。
Amazonは『注文履歴』画面にある『商品の返品』ボタンから返品することが可能です。『商品に不具合または損傷がある』といった理由を付ければ返金されますので、おかしいと思ったら返品して別の商品を購入しましょう。