さくや(@sakuyakonoha77)です。
本格的な木工作業をしようと思うと、欲しくなる道具、ベンチバイス。
しかし狭い賃貸住宅では、ベンチバイスの付いたワークベンチ(作業台)を置くことなんてできるはずもありません。
・・・でも、ワークベンチは無理でも、ベンチバイスだけを使う方法はないものか。
もしかして、リビングのテーブルに取り付けてしまえばいいのでは??
と思いついてしまったのが、今回の挑戦のきっかけでした。
市販のダイニングテーブルへのベンチバイス取り付けという前代未聞のチャレンジ。
テーブルの構造や形は様々なので臨機応変な対応が必要になりますが、流れさえわかってしまえばどのようなテーブルにも取り付けることができると思います。
今回はその一部始終と、取り付けの際のポイントを詳しくご紹介します!
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ベンチバイス取り付け
今回ベンチバイスを取り付けるテーブルは、我が家のリビングにあるダイニングテーブルです。
ベンチバイスを取り付けられるテーブルの条件
どのようなテーブルにも取り付けられるとは言いましたが、多少の加工が必要になりますので加工できる材質であることが条件になります。
木製であれば全く問題なしですが、木製っぽく見えなくても中が合板やパーティクルボード(木のチップを圧縮したもの)であることも多いので、気になる方は自宅のテーブルを調べてみてください。
天板の厚さがある程度必要にはなるものの、そこはスペーサーを入れれば対応できることを前回説明しました。
ベンチバイスの取り付け方(1) ~取り付け位置とスペーサーについて
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さらに、ベンチバイスを取り付ける面は平面になっている必要があります。たとえば我が家のダイニングテーブルの場合、天板の縁が少し突き出た形になっていますので一部欠き取らなければなりません。
また、家具によっては組み立て金具が取り付けられている場合もあります。我が家の場合はテーブル裏面の四隅に金具があり、幕板(テーブル裏面を支える四角い枠)には数か所に天板固定用のビスが埋め込まれています。
ベンチバイスを取り付ける際は、こういった組み立て金具を避ける必要があります。
それでは、さっそく天板の加工について詳しく見ていきます。
テーブル天板の加工
ベンチバイス取り付け位置を決めて墨付け
まずはベンチバイス取り付け予定位置に、ベンチバイスの幅で墨付けして切り欠き位置を決めます。
上の写真で×印をつけた範囲が切り落とす個所です。この線は目安なので、そんなに厳密である必要はありません。
テーブルの天板を切り欠き
位置を決めたら、いよいよテーブルにノコギリを入れていきます!
両端は正確に切りたかったので直角切り治具を使っています。直角切り治具についてはこちらで詳しく紹介しています。
ノコギリで木材を直角に切る方法 ~高精度なノコギリガイドの作り方
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ノコギリで切り込んだら、次は毛引きでベースライン(幕板の位置)の切り込みを入れます。毛引きが無い場合は定規&カッターでも構いません。
ここはあとで鑿の刃を挿し込むのでしっかりと筋を付けるのがコツです。
この部分を鑿を落としていくのですが、すべてを一度に落とすのは大変なので、あらかじめノコギリで切り込みを入れておきます。ベースラインを超えないように注意します。
ノコギリで切り込みを入れたら、鑿で欠き取っていきます。まずはベースラインから1~2mm程度離れた位置で大まかに欠き取ります。
このとき木材の破片が飛び散ってしまうので、私はあらかじめ養生テープを貼っておきました。欠き取った木材が落ちないので片付けが楽になります。
大まかに切り落としたら、ベースラインの筋に鑿の刃を差し込んで、そのまま切り下ろします。
これで天板の切り欠き加工が完了です。
ベンチバイスを取り付けるためのボルト穴を空ける
天板の加工が終わったら、次はベンチバイスを取り付けるためのボルト穴を空けます。このボルト穴の位置は正確である必要があるので、現物合わせとドリルガイドで正確に加工します。
ベンチバイスを逆さに乗せて輪郭とボルト穴の位置を写す
まずは、天板の切り欠きに合わせてベンチバイスを逆さまに乗せます。ベンチバイスの形と、ボルト位置を写し取るためです。
ちなみにここで使用しているベンチバイスは、Lee Valley製のものをカナダから直輸入しています。その選び方と輸入方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
木工用ベンチバイスとは ~木工バイスの選び方と購入方法について
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ベンチバイスを載せたらしっかりとテーブルに押し付けて位置を決めて、そのまま輪郭線を鉛筆で写し取ります。
輪郭を写し取ったら、あわせてボルト穴の中心も確認しておきます。
ベンチバイス側のボルト穴はM12規格(直径12mm)用なので、直径12mmドリルビットを穴に挿し込み、グリグリ回して先端で軽く掘る感じです。
なお、今回はボルト&ナットでベンチバイスを取り付けることにしました。しかしどちらかと言うと、ボルトではなくコーチスクリューを使って取り付ける方法が一般的です。
天板の厚みがそもそも厚いのであれば、天板裏面に下穴を空けて直接コーチスクリューを打ち込めばよいというわけです。
しかし私の場合、今回はコーチスクリューを使うことができない事情がありました。そもそも天板の厚みが足りず、追加するスペーサーは天板に固定されていないからです。
スペーサーを天板に取り付けて、そのスペーサーにコーチスクリューで・・とすると手間がかかる上に強度にも不安が残ります。
そこで、天板とスペーサーとベンチバイスを、ボルト&ナットで挟んで締め付けることにしました。
スペーサーをクランプし、ドリルで貫通穴を空ける
穴あけの位置が決まったら、クランプを使って裏面にスペーサーを固定します。
バークランプとFクランプを使って、前後、上下とクランプしていきます。このあとのドリルで加工でずれることが無いよう、しっかりと固定します。
固定したら天板側から穴を空けていきます。今回はボルトで固定しますが、天板側にくるボルトの頭を天板面に埋め込みたいので、まずは座繰り穴からあけていきます。
直径12mmの六角ボルトの頭は、最大径が約22mmです。ちょう径22mmの穴あけビット(神沢鉄工のX.Bit)を持っていたので、こちらを使いました。
このビットを使ってドリル加工を行いますが、今回は精度よく加工したいのでドリルガイドも使いました。
ドリルの深さを決めたら、天板に座繰り穴を空けていきます。ドリルビットの先端を先程つけた印に合わせることで、位置がずれるのを防ぎます。
座繰り穴を空けたら、ドリルビットを12mmロングビットに付け替えて、今度は貫通穴を空けます。
ここの穴あけは垂直の精度がとても重要です。
斜めに穴を空けてしまうと、あとでベンチバイスを取り付けたときに穴の位置が合わなくなってしまいます。
フリーハンドでこの加工は至難の業。しかしだからといってボール盤(正確に垂直の穴を空ける機械)が使えるわけではありません。
だからこそ、ドリルガイドを使っています。ここに限ってはドリルガイドを使うのがベストです。
ボルトを通してベンチバイスを固定
天板に穴を空けたらボルトを通し、そのままテーブルをひっくり返してベンチバイスを載せます。
ボルトに座金(ワッシャー)とナットを通し、ソケットレンチで締め付けます。
M12規格の六角ボルトを使う場合、ボルトの頭のサイズは19mmです。19mmのソケットレンチが必要になります。
奥の二つのボルトにワッシャーを入れていないのはベンチバイスの形の都合です。ボルト穴のそばに斜めの鋼材があるためにワッシャーを入れることができませんでした。しかし強度的には全く問題ありません。
ベンチバイス付きテーブルの完成!
あとは、テーブルをひっくり返せば完成です!
まとめと補足
これでベンチバイスの取り付けは完了です。木製で加工可能なテーブルであれば、どのようなテーブルでもベンチバイスを取り付けることができるのではないかと思います。
ベンチバイス取り付けの流れはだいたい同じになると思いますので、ぜひご自宅のテーブルを眺めて想像してみてください。
さて、テーブルにベンチバイスを取り付けた際には、いくつか補足しておくことがあります。
ボルト&ナットの定期点検は必要
ベンチバイスはボルト&ナットで締め付けているので、そう簡単に落ちてくるものではありません。
しかしボルト&ナットはいつか必ず緩んできます。
これは防ぎようがないので、定期的に点検して増し締めする必要があります。
テーブル前面のベンチバイスは、慣れないとぶつかる
テーブル前面に普通はあり得ないモノが付いているので、手や足や腰をぶつけることはやっぱりあります。
家族のヒンシュクを買わないように、根回しとアフターケアは手厚くしておきましょう(笑
天板下のスクリュー部に膝をぶつけないよう注意
表からは見えませんが、テーブル天板の下にはベンチバイスのスクリュー部分があります。
テーブルの座り方によっては、ここに膝をぶつけてしまうこともありますので注意してください。
今回はここまでです。ここまで読んでいただきありがとうございました!
次はベンチバイスをさらに良いものにするために、当て木とベンチドックを取り付けます!